道具学への待 vol.56 鵜籠 ―鵜飼用具の展示方法―

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 長良鵜飼の鵜籠は2種類。楕円形の鳥屋籠(寝床用)と円形で桧製蓋・脚付の鵜籠(鵜の運搬用で鵜舟の幅に合わせた直径のもの)である。
 ここでは春夏秋冬そして一日の時間帯で、鵜匠の暮らしによって鵜飼用具の展示配置が変わり、鵜と鵜匠の日常を知ることができる。例えば午前中、籠が外に乾されている時は、その間鵜は自由気ままな時間を過ごしているということになる。散歩中の鵜が自分の鵜籠の前で足を止めて眺める姿や、手縄(鵜と鵜匠を繋ぐ縄)の間から顔を出して愛嬌振る舞う姿は、夜の鵜飼漁からは想像できない。また鵜飼期間の夕方になると、資料園から鵜舟に載せる鵜飼用具一式が大八車ごと消えてしまう。さらにシーズンが終わると腰蓑などは仕舞われ、代わりに篝に使う松割木一年分の壁が庭に出現。その量は圧巻で、冬になると鵜飼屋一帯が松割木の匂いで包まれる。
 「鵜と鵜匠の普段の姿を見てもらいたい」という山下純司鵜匠のこだわりは常に自然体であること。これは究極の展示方法かもしれない。

(石野律子 2009/11)

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