道具学への待 vol.57デルフトの招き猫

i057.jpg アムステルダムの骨董市で「招き猫らしい置物」を見つけた。左手で顔の毛繕いをしている可愛い姿。デルフト製の「青のぶち猫」。すぐさま買い求めた。
 「左手だから人招きだよね」とためらいもなく講釈を始める友人に一言。「でもこれ本当に招き猫かい?」。日本には様々な「招き猫」が存在し、多くの伝説がある。井伊直孝の「豪徳寺説」、太田道灌の「自性院説」など枚挙に暇がない。
 でもここはオランダ、造られたのはデルフトの町。そもそも「手招きしている猫」だからと言って、それが皆「招き猫」だとは限らないだろう。「招き猫」には「招き猫たる由縁」があるのではないか。世界の誰しもが親しむ猫の習性。俗に毛繕いと称され、その可愛い動作は微笑を誘う。日本では様々な伝説と共に、その仕草から「招き猫の原型」ができたとされる。しかしよくよく考えて見ると「どこまでが招き猫のかたち」なのか。私は迷った。私が招き猫コレクターになる切掛けとなった懐かしい出来事である。

(藤本清春 2009/12)

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