道具学への待 vol.58 トラ とら 虎─虎斑(とらふ)

i058.jpg ドイツの古都フライブルグ、城壁内広場に一条の清流がはしる。石づくめの街道に潤いを添えた一景。だが縁石も石畳と同系で危険表示は一切ない。
 アブナイじゃん! 幼児老人はもとより健常な通勤者学童が必ず踏み外すぞとカメラを構えたが皆スイスイ渡ってオチる気配がない。日本ではどんな危険表示も事故が防げず結局は蓋! だから折角の景観配慮デザインも沙汰止みがオチ。
 身の安全は自ら守るのが前提で、公的機関に責任はない。過剰な安全対策はかえって危険を無限増幅すると、この溝のデザインは語っていた。
 虎は日本に産しなかったが、黄地に黒縞の虎斑パターンが列島の隅々まで、景観への配慮もなく蔓延する縞国(しまぐに)!
 何ごとも西欧を範(モデル)としてきた我国、だがドイツの溝(トラフ)に虎斑(とらふ)の意匠(デザイン)はない。安全思想は誤輸入ではなかったか。エコ先進都市フライブルグに日本の政府自治体NPOが詰めかけていた。エコ誤輸入も怖い。道具学の課題としたい。

写真左上・右:フライブルグ、02年道具学会比較道具文化探検(撮影:山口)
写真左下:東京・下落合、09年(撮影:山口)

(山口昌伴 2010/01)

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