道具学への vol.71 経木の甦生

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 経木(喬木)は飛鳥時代からあり、当時は木端割りした薄い板で多く経文を書いたのでその名がついたようだ。表面を削れば何度も使えるエコの優れものだ。私たちが時折目にするごく薄い経木は、台鉋が出現した室町時代以降に作られたのではないか。今日、経木の名は若者には死語に近いが、年配の人も経木は懐かしさと同時に「ベニヤ」と同様に代用品・安物の代名詞と感じるところもあるようだ。古来の本物志向と庶民や近代の合理性が拮抗して尾を引いている。
 経木は要するにカンナ屑である。カンナ屑で物を包んだり、他の板の上に貼る用途を考えたのは一体誰だったのか興味は尽きない。私は学者ではなく職人なので感覚として感じるだけだが、のめり込んだ今、経木文化は日本の建築文化と双璧をなす程の偉大な価値があるのではないかと思っている。
 庶民生活で食物の包装材など広く愛用されてきた経木を、現代社会で違った形で生かすことが出来まいかと、新しい用途開発に取り組んでいるところである。

写真・経木をレーザーで抜き、貼り合わせた栞(デザイン:佐野邦雄+馬場信繁)

(川田久義 2011/02)

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