道具学への待 vol.81 TGV車内用コーヒーカップ

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 このカップは、薄い樹脂の真空成形からなる白色の上半分とコーヒー色の下半分の底部分から構成されている。双方が重なり二層になっている下半分は掌に載せても熱くない。
 そして、極め付けは上半分の部品である。写真に見られるように単純な成形の半硬質のこの部品による容器の耳(取っ手となる摘み)の部分のカップ内側が溝状にへこんでいる。そこに撹拌棒を挟み込み容器の取っ手部分を摘んで中の飲み物を口へ運ぶと、撹拌棒は耳の内側の溝部分に樹脂の弾力を介して指の力を受けて固定される。撹拌棒を容器内に収めたまま、飲み物をゆっくりと飲み込むことができる。
 再び撹拌棒を使う折は、容器をテーブル上に置くか底の部分を持つことで、撹拌棒は溝から開放されるために自由に使うことができる。揺れる環境で濡れた撹拌棒でテーブルを汚さずに熱い飲み物を安全かつ寛いだ気分で味わうために、よく考えられた道具といえよう。

(古川政明 2011/12)

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